恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~

結局、少ない貯金を全額はたいて、そのうえ父に頼んで“出世払い”……つまり“偉くなって、たくさんお金が稼げるようになったら返す”って約束で援助をしてもらって、結婚相談所に入会したのが半年前。

賢い賢いコンピューターくんが、あたしの未来のダーリンをきっと探し出してくれるんだ、って本気で信じた。

信じ込んでた。信じて少しも疑わなかった。


……が、しかし!!


あたし、カレのことを買いかぶってたみたい。

だってコンピューターくんったら……ハッキリ言っておバカなんですもの……。

この半年というもの、会社員、公務員にはじまって、先生、警官、自営業の若旦那、それに青年実業家、商社マン、医者、弁護士まで、総勢20人近く紹介してくれたコンピューターくんだったけど……。

あ~ァ、どうしていないんだろ…? あたしの夢を叶えてくれる運命のヒト。 


“まぁ、このへんで妥協して、まずはこのヒトと付き合ってみるか……”

…って思ったことも2回あった。

けど、そう思った途端、あたしの中のもう一人のあたしが、こう囁く…、

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