恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
「これでいいのかなァ……? ホントにいいのかなァ……? あのさァ、もう、ちょっとだけ待ってみない? ひょっとしたらさ、次に出会う男のヒトこそが、毬ちゃんの夢を叶えてくれる運命の相手なのかもしれないよ」

…って。

そんなとき、あたしは決まってこう答える…、

「そうかなァ……そうなのかなァ……そう……なの……かも……ね。うん、きっとそうだよ! そうに違いない!」

…って。


最初の希望どうり、コンピューターくんが配ってくれる男=カードの手持ちはどんどんどんどん増えていったワケだし、妥協して守備範囲を広くすれば、付き合ってもいい男のヒトだっていないわけじゃなかったけど、でもその人数が増えれば増えるほど…、

“ひょっとしたら、もっといいのが来るかもしれない…”

…っていう思いがますます強くなっちゃうんだよね、これが♪

だから、結局、決められない。


あたしはこのとき生まれてはじめて“選べる”ってことが、意外と面倒なことだということに気がついた。

でも、だからって他人に勝手に決められるのは絶対イヤだった。

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