恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
“夢見る乙女”は卒業する。

今度、コンピューターくんが紹介してくれる男のヒトのことは、今までよりもっとちゃんと真剣に考えてみよう。

断る理由を探すための観察はもうしない。好きになる理由を探すための観察をするよ。



「お~い、いま帰ったぞぉ~♪」



…と、そのときあたしの部屋の床下から、父のおらび声が聞こえてきた。

「…!?」

あたしはベッドから飛び起き、階段を駆け降りると、あたしの部屋のちょうと真下に位置する1階のリビングへと向かった。

「おぉ、愛すべきわが娘よ~♪」

「うわっ……お酒臭ァ~いっ……」

あたしはたまらず鼻をつまんだ。

そこにはスーツが半分脱げかかって、ぐでんぐでんに酔っ払った父がいた。

たしか、今日は父の勤務先である病院に、新しいヒトがきたということで“歓迎会”をやってたらしいけど。

「娘よ、祝いの杯(さかずき)を酌み交わそうではないか~♪」

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