恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
「危ないっ!」

階段から落ちそうになるあたしの手を、慌てて、だけどしっかりとつかんでくれた彼。

結果的に、はじめて安達さんにボディタッチをした瞬間だった。

「すみません。ヤッパいっしょに来てもらってよかったです。もし安達さんがいなかったら、あたし、階段の一番下まで転がり落ちてたかもしれないです」

「医者と遊園地に行ってケガさせたんじゃ、笑い話にもなりませんからね」

「いや、ちょっとウケるかも。フフッ」

そのとき自然に笑顔がこぼれた。

そして、シンクロするように彼も笑った。


この瞬間、なんかお互いの心を隔てる厚くて大きな壁がなくなって、2人の心がダイレクトにつながったような気がした。



「そろそろ、おなかすきませんか? あたし、お弁当つくってきたんです」

ウチは母親がいなくて、いつも家の食事はあたしが作っているから、料理の腕にはけっこー自信がある。

でも、女のコらしさをアピールするために手作りのお弁当を持ってくるなんて、われながら計算高いな、って思う♪

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