恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~


「あたしなんか……あたしなんか毎日毎日、書類まとめたり、コピーとったり、お茶汲んだり……別にあたしじゃなくったってできるようなやりがいのない(超くっだらない!)仕事ばっかりで……世の中的にはなんの役にも立ってないんですよね……」

彼のような立派な人間を前にすると、自分が情けない人間のように思えてしまう。

「そんなことないと思いますよ。OLさんたちの縁の下の力持ち的なサポートがあるおかげで、男性社員たちもスムーズに仕事ができているはずですから」

彼はやさしくそう言ってくれてるけど、ウチの会社の男性社員たちの誰がいったいあたしらOLのサポートに感謝してくれていることだか……。

「あたし、ときどき“自分には何ができるのかな?”って、夜も寝ないで考えることとかあるんですけど……でも最後は結局“あたしにはナンにもできないじゃないか……”って、すっかり気分が滅入っちゃって、それで……」

何げに彼のほうを見ると、心配そうな、でもちょっと困ったような顔をしていた。

だからあたしは慌てて作り笑顔で…、

「アッ、ゴメンなさいっ。なんかヘンな話しちゃって……」

…って言うと、まるで冷や汗をかいたように、びっしりと水滴で覆われたダイエットコークの缶をクチにつけた。
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