恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
たしかに黙ってると「怒ってるの?」って訊かれることがときどきある。あたし的には全然機嫌が悪いわけでもないのに……。

「ツンとすましているように見えても、しゃべるといきなり18歳の女のコになっちゃうんですね。いい意味で想像を裏切られました。僕はもうこれからは、なんの躊躇もせずに、素直にあなたのことをかわいいと思うことにしますよ」

“素直にかわいいと思う”って。

そーいう恥ずかしいセリフは、あなたみたいに爽やかなヒトしか言っちゃいけないセリフなんですよ~♪

あたしは穴があったら入りたいくらいの恥ずかしさに、ほっぺたがイッキに熱くなるのを感じた。

「家に帰ったとき、間宮さんみたいなかわいい奥さんが笑顔で出迎えてくれたりしたら、それだけで僕の一日の疲れなんかきっと何処かに吹き飛んでしまうしょうね」

「そうですかァ?」

あたしは思いっきり照れまくっていた。

「ええ。間宮さんの微笑みで、僕の精神的緊張状態は一気に緩和されます。あなたは僕にとってまさに“癒しの女神”ですよ」

高校のときはサッカー部の“勝利の女神”だったけど、今度は“癒しの女神”?

あたしは内心、“このヒト、人前でよくこんな恥ずかしいこと言えるなァ……”と思いつつも…、
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