恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
「そっか、お前も社会人になったか……」
そう言って、あたしのつま先から頭のてっぺんまで、ゆっくりと全身を舐めるような眼差しで見るアイツ。
「な、なによっ…、ヒトのこと、あんましジロジロ見ないでよねっ、やーらしいっ」
「…お前、老け顔だから学生時代の制服はビミョーだったけど、OLの制服は似合いすぎ。つーか、なんかエロい」
「バカじゃない!? それはアンタがそーいう目で見てるからよ。それにあたしは“老け顔”じゃなくてオトナっぽいの! だいいち、こう見えてもまだ18歳なんだからね!」
あたしは自慢げに言い放ってやった。
だけどアイツは動揺もなく言い返してきた。
「なるほどな。18になったからアノ男と結婚するわけだ」
そう言いながらも剛はあたしと視線を合わせていない。彼の視線はあたしの左手薬指のエンゲージリングに向けられていた。
「そうよ。18で結婚して双子のママになるのが、小っちゃい頃からの夢なんだから」
安達 勤さんと出逢ってもう3ヶ月が経つ。
外科医として多忙な日々をおくる彼だったけど、可能なかぎり会うようにはしていたし、今ではもう彼のことを自分の運命の相手だとハッキリ確信することさえできる。