恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
だから、出逢って2ヶ月目には婚約して左手薬指にエンゲージリングをはめた。
彼があたしの夢を叶えてくれる。
そうすれば、こんな毎日ともサヨナラできる。
彼との結婚だけが、今のあたしにとってただひとつの希望といってよかった。
「その結婚……辞めたほうがいいと思うぜ」
静かな口調でアイツが言った。
「なにソレ?」
「ヤツはお前が思ってるような男じゃないってことさ」
「ひょっとしてヤキモチ焼いてるワケ?」
「言っとくが、ヤツはお前のことなんか愛しちゃいない」
「だ~か~ら~、男のヤキモチはみっともないから、よしなって♪」
「聞けよ、ヒトのハナシっ!!」
茶化すように言ったあたしに向かって、すごく怖い顔でアイツが怒鳴った。
「もう、いいでしょっ!?」
だから、あたしも真顔で応戦した。