恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
第8話「今まで秘密にしてたこと」
その年の12月24日、午後から退社したあたしは、その足で病院に直行した。
その日の午後と翌日は“有給休暇”をもらっていたんだ。
「間宮さ~ん。間宮 毬さ~ん」
「はい」
事前に予約をしていたので、ほとんど待たされることもなく、看護師さんに呼ばれると、あたしは診察室に足を踏み入れた。
「おっ。今年は道草しないでちゃんと時間に間に合ったな」
笑顔で迎えてくれたのは循環器内科の医師……ってゆーか父だった。
家にいるときはどう見ても“タダの中年メタボおやじ”にしか見えないのに、こーして白衣を着ていると、ちゃんと“お医者さん”に見えるから不思議だ。
「道草って…。去年は自転車のタイヤがパンクして歩いてきたから遅刻しただけて、別に道草くってたわけじゃないよっ」
オトコのクセに昔のハナシを持ち出す父に少なからずムカついた。
「今年は、すっぽかされるかと内心ヒヤヒヤしてたぞ。なんせ今夜はカレシとデートするとか言ってたからな」
その日の午後と翌日は“有給休暇”をもらっていたんだ。
「間宮さ~ん。間宮 毬さ~ん」
「はい」
事前に予約をしていたので、ほとんど待たされることもなく、看護師さんに呼ばれると、あたしは診察室に足を踏み入れた。
「おっ。今年は道草しないでちゃんと時間に間に合ったな」
笑顔で迎えてくれたのは循環器内科の医師……ってゆーか父だった。
家にいるときはどう見ても“タダの中年メタボおやじ”にしか見えないのに、こーして白衣を着ていると、ちゃんと“お医者さん”に見えるから不思議だ。
「道草って…。去年は自転車のタイヤがパンクして歩いてきたから遅刻しただけて、別に道草くってたわけじゃないよっ」
オトコのクセに昔のハナシを持ち出す父に少なからずムカついた。
「今年は、すっぽかされるかと内心ヒヤヒヤしてたぞ。なんせ今夜はカレシとデートするとか言ってたからな」