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その後、お姉ちゃんと私は、静かに二階へ移動した。
一階からはまだ、お母さんの泣き声が聞こえる。
『桜…』
お姉ちゃんの、悲しげな小さい声で、私は振り向いた。
お姉ちゃんは、自分の部屋を指差していた。
「ここに居よう」という、無言の訴えだった。
私は、その部屋に、静かに入った。
甘い香水の匂いが、何故か切なく感じる。
私は、歩く気力も立つ気力もなく、ベッドに倒れ込んだ。
そのベッドの隅に、お姉ちゃんが小さく座った。
お姉ちゃんが、ゆっくりと口を開いた。
『お父さんは………帰ってくるよ…。また、元の生活に…戻れるよ…きっと………』
願うように、祈るように、優しく言った。
私の目からも、お姉ちゃんの目からも、涙が溢れた。
その涙は、拭っても拭っても、とめどなく流れて、止まらなかった。