sky



ギィ…というドアの音。


普通の家からは聞こえてくるはずの『おかえりなさい』なんて言葉は、私にはもう何年も前から、縁のない言葉。



静かな家の中…



お母さんとお姉ちゃんは、出掛けているみたいだ。


私は心のどこかで、安堵の溜め息をついた。




部屋に行こうと、階段へ向かう途中、何か細かいものが足の裏に突き刺さった。


「…ったぁ…」


私は、柄にも合わず、目に涙を溜めて、声をあげた。


周りを見ると、ガラスの破片が無惨に散らばっていた。

所々、血が落ちている。



…お母さんだ。



ガラスなんかを床に投げるのは、お母さんしかいない。





全く、後片付けくらいしっかりしてほしい。
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