淡恋
「時間もったいないんで、歌おうゼ☆」
「そーだねぇ。」
「じゃ、俺歌いまぁっす!!」

あたし以外は弘人君によってみんな歌っていた。
その時、大悟君が戻ってきた。

「大悟ぉー、どぉだった??」
「なんか忘れててバイトしてたらしい。今終わったとこだから、こっち向うってさ。」
「裕樹らしいねぇー。笑」

結局こっちに来るんだ・・。
もぉ帰りたい!!こんなとこ来るんじゃなかったぁー・・・。

そんな事を思っているときに弘人君は歌い終わっていた。
あのテンションの高い声を大音量で聞くつらい時間は終わった。・・・っと思ったのに。

「優奈ぁ~。テンション上げてこーよっ!!」

・・・しゃべりかけてきた。

「はー・・・・。」
「・・ねぇ、済ました顔して、本当はやる事ヤってるんでしょ?」

・・・・?

「はぃ?」
「またまたぁー。今夜さぁ、二人で抜け出そーよ☆」

・・!?コイツ・・・やっぱ最低だ・・・。

「・・・・キモい。」
「は・・?」
「気持ち悪いんだってば!もうやめてよ!!」
「ゆ、優奈ぁ!!落ち着いてっ、ね?」

千夏はあたしをかばってくれてるけど・・・、あたしは怒りが収まらなかった。
そんなあたしを、弘人くんは睨んできた。

「こいつ、何様なんだよ!ちやほやされるからって、調子こいてんじゃねーぞ!!」

その瞬間、場の空気は最悪だった。
千夏はあたしと弘人くんの怒りを抑えようとしてる。
加奈ちゃんと絵梨ちゃんはうつむいている。
大悟くんと健介くんは弘人くんの体を抑えてる。

・・・あたし、何やってんだろう・・・・。

全部、あたしのせいだ・・・。

「・・・ごめんなさい。あたし帰るね・・・。」

こんな場所に一秒も居たくなかったあたしは、走って外に出た。

「はぁ・・はぁ・・・」

《ドンッ》

「痛っ・・・。」

ふいにも誰かにぶつかって転んでしまった。






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