xxx彼氏のないしょ
那智の腕に抱きついたまま手の甲をぎゅうぎゅうと抓る
「…みかん、痛い」
「…ばか」
云ったらにっこり(みんな曰く『王子の微笑み』)笑ってあたしを抱きしめる
ふわりと甘い香水の香りがした
「…那智なんてきらいだ」
「くすくす、ごめんねみかん」
「っ、笑うなばかぁ!」
「ちょっと、朝っぱらからうっとーしんだーけーどぉっ!」
べしっ
大きな音と一緒に頭に激痛が走る
「いたあっ!……ってーなぁざけんな誰だよまぢで…ぇ」
「ああ゛?なあに?みかん。アンタあたしにそんなこと云えるほどいつ偉くなったわけ?ん?」
云ってみなさい、と頬をぺちぺちとかるく叩かれる
嗚呼、恐怖だ
女王様の降臨だ
「ぅ…、あ、ゆうちゃ…」
「ん?どーしたのみかん。さっきまでの威勢はどうした?」
「や、ちが…ぅ、だっ…て、ぅ、うえ」
「ほら、聞こえない」
「優、いい加減やめとけよ、ミカちゃんまじで泣くから」
「何よ、あたしがいけないんじゃなくてこの“王子様”とこの“おばかちゃん”がイケナイのよ。教室の真ん中で抱き合って暑苦しいったらありゃしない。ねえ、みかん?」
「っ、はい!ごもっともでございますぅううう」