幻妖奇譚

∽踏切の噂∽

「先輩! 超怖い話知ってるってマジですか?」

 放課後。ヨシエが所属する部活の先輩に詰め寄るヨシエ。

「そっ♪ 姉貴から仕入れた超最新ネタよ~。聞きたい?」

「聞きたい聞きたーい♪」

「その前に。あたしが話す内容、全部覚える事! この話を必ず2人に話す事! コレ守らないと大変な事になるから気をつけてね?」


 念押しをする先輩の言葉に素直に頷くヨシエ。
 基本的に負けず嫌いなヨシエが、このように素直な態度を見せる事は珍しい。それほどまでにヨシエは、この先輩を頼り、慕っていた。






 ――そして話は進み、ヨシエが勝手に変えてしまった終盤に差し掛かる。

「……でね、それ以来その場所で男の人が目撃されてるんだけど、警笛あるじゃない? カンカンカンってアレね、鳴ってる時だけ現れるの」

 目を輝かせながら聞き入るヨシエ。

「しかも決まって夕方に。電車が近付いて来ると消えちゃうんだけど、その時『危ない!』とか、絶対声掛けちゃいけないの」

「なんでですか?」

「声を掛けたら最後、死ぬまでつきまとわれるそうよ」

「なんか……地味っすね……」

「ま、噂だからね~♪ でも最初に言った事は絶対守ってよ!?」

「はあい♪」

(最後が地味だけど、いい話聞いちゃった。明日、早速アケミとチエに教えよ~っと♪)

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