幻妖奇譚
廊下を走るヨシエ。が、途中先生に注意され、小走りに近い早歩きをしている。
「ヨシエ? なに急いでるの?」
「あっ先輩!」
昨日聞いた話を友人達にした後、一人が気を失ってしまった、と先輩に説明するヨシエ。
「ね……、ちゃんとあたしが言った通りに話したわよね?」
先輩に指摘され、心臓がドキン、と一気に高鳴るヨシエ。
「それが……ちょっとアレンジしちゃって……」
「アレンジ……って変えちゃったの?」
「話してたもう一人の子に……アケミに“そんな話ありがちだ”って……。だからつい……」
先輩の顔がだんだん青ざめて来る。
「で、でもッ! 噂なんですよね?」
ヨシエの質問に首を横に振る先輩。
「ごめん……。あれ、実話なのよ。姉貴の大学で本当にあった事だったの……」
「実……話?」
「姉貴と同じ学部の女の人とその彼氏が、その場に居合わせてたって話でね、事故った男の人と揉めてたんだって」
先輩の震える手……まさか実話だったと思っていなかったヨシエも、足の震えが止まらない。
「今までもその男の人に関しての話が作られてたんだけど、話を曲げてしまった人とその話を聞いてしまった人に災いが降り懸かるの……」
――ヨシエの全身から血の気が引き、腰から崩れる様にその場に座り込む。
「ヨシエ? なに急いでるの?」
「あっ先輩!」
昨日聞いた話を友人達にした後、一人が気を失ってしまった、と先輩に説明するヨシエ。
「ね……、ちゃんとあたしが言った通りに話したわよね?」
先輩に指摘され、心臓がドキン、と一気に高鳴るヨシエ。
「それが……ちょっとアレンジしちゃって……」
「アレンジ……って変えちゃったの?」
「話してたもう一人の子に……アケミに“そんな話ありがちだ”って……。だからつい……」
先輩の顔がだんだん青ざめて来る。
「で、でもッ! 噂なんですよね?」
ヨシエの質問に首を横に振る先輩。
「ごめん……。あれ、実話なのよ。姉貴の大学で本当にあった事だったの……」
「実……話?」
「姉貴と同じ学部の女の人とその彼氏が、その場に居合わせてたって話でね、事故った男の人と揉めてたんだって」
先輩の震える手……まさか実話だったと思っていなかったヨシエも、足の震えが止まらない。
「今までもその男の人に関しての話が作られてたんだけど、話を曲げてしまった人とその話を聞いてしまった人に災いが降り懸かるの……」
――ヨシエの全身から血の気が引き、腰から崩れる様にその場に座り込む。