幻妖奇譚
「や! 何よこれッ!?」

『僕ヲ馬鹿ニスルナ!! 馬鹿ニスルナ!! 馬鹿ニスルナアッ!!!!』

 眼鏡の女の体に裂傷のような傷が出来る。

 凄い!直接手をくださなくても、女は傷だらけだ!

「ヨ……シエ……。た、助け……て」

 眼鏡の女が這いながら助けを求める。なんて愉快なんだ!

 後は短い髪の女。さっきより体が動く様になった。それはいいが、ここは何処なんだ?

「チエッ!!」

 誰か入って来た。頭で考えただけであの怪我だ。実際に手を下したら――こんな小娘、この僕にかかれば、わけはないだろう。

 近付いて来た女の首を締める!おかしい……。なかなか気を失わない。もっと渾身の力を込めなきゃ――!!

『はいっチーズ♪ カシャ』

 !!!!眩しいっ!!

 突然の光に力が緩んだ。なんだ?どうして邪魔をするんだ?

 女が一人増えている。この女、何言ってるんだ?あの粗野な男が僕を助けるはずないじゃないか!!

 あの男は僕と彼女の仲に嫉妬していたのだから!

 な、んだって?彼女が?彼女が死んだ?

 デタラメだ!この小娘、僕と彼女の仲が羨ましいんだろう?

 嘘だ!彼女が自殺なんてする筈がない……!!

 彼女は生きてる!!そうに決まってる!僕は窓に向かって走り出した――!!



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