幻妖奇譚
 家に帰ったあたしはランドセルを背負ったまま、パパの寝室に向かった。

「サキッ!! サキ、聞いて!!」

 鏡に向かって叫ぶ。

「沙希? 今日は早いのね」

「そうなの! えぇっと……、今日朝礼があってね、危ないから早く帰れって! でね、クラスが大騒ぎでッ!!」

「沙希。何言ってるかわかんないよ。落ち着いて? ほら、深呼吸して」

「はーふー、はーふー……」

 あ、少し落ち着いてきた……。

「落ち着いた? 最初から話してくれる?」

「うん。……あのね、今日学校に行ったらみんなが騒いでてね、学校の誰かが殺されたんじゃないかって」

「…………」

「でね、教室ぐるーって見たら……ほら昨日話した光江と由美子とみちる! 学校来てなくて、そしたら朝礼で3人が誰かに殺されたって! どうしよう、あたしのせいだよ!!」

「……どうして?」

「どうしてって……あたしが昨日『いなくなればいい』って考えたから……」

「沙希が気にする事じゃないよ」

「……ッでも!!」

「いいのよ……だって…………」















「その3人…………あたしが殺したから」




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