幻妖奇譚
――……“ちょろい”って、まさか?
「あれ、全部万引きしたものよ」
「ぜ、全部!?」
「悪い事してる、って少しも思ってないわね。それどころか、万引きを楽しんでるわ」
今日の“収穫品”の白地に赤いハートのラインストーンが入った手鏡に笑顔を映す由美子。
「うん♪ 可愛い♪」
鏡に映る自分をしばらく眺め、呟く由美子。
「サキ……、由美子の……」
言いかけたところでサキがあたしの言葉を遮る。
「言わなくていいわよ。沙希が何を言いたいかわかる。あたしも同じ事を感じたから」
「あれ、全部万引きしたものよ」
「ぜ、全部!?」
「悪い事してる、って少しも思ってないわね。それどころか、万引きを楽しんでるわ」
今日の“収穫品”の白地に赤いハートのラインストーンが入った手鏡に笑顔を映す由美子。
「うん♪ 可愛い♪」
鏡に映る自分をしばらく眺め、呟く由美子。
「サキ……、由美子の……」
言いかけたところでサキがあたしの言葉を遮る。
「言わなくていいわよ。沙希が何を言いたいかわかる。あたしも同じ事を感じたから」