幻妖奇譚
パパが指差した方向を見る。
そこは……
「寝……室?」
「美沙は、あの鏡に吸い込まれていたんだ」
鏡……鏡が人を吸い込んだ?
「ママは……無事なの?」
「もちろん元気だよ。沙希も久しぶりに美沙に会いたいだろう?」
そう言ってパパはあたしを寝室の鏡の前まで連れていく。
「美沙……。沙希だよ、僕たちの娘だ。こんなに大きくなったよ」
あたしとパパを映し出していた鏡は、次第に長い髪の女性の姿を映し出す。
「マ……マ? ママなの!?」
目を疑ってしまった。だって……鏡に映っているのは、どう見ても20代前半の綺麗な……あたしの記憶の中のママだった。
「鏡の世界は時間が流れないらしくてね、美沙は若く綺麗なまま、ずっとパパと沙希を見守ってくれているんだよ」
「こんな事って……」
パパは鏡の中のママを愛おしそうに見つめ、話しかけている。でも……ママがそれに応える事はない。
鏡は、サキは人を殺すだけじゃないんだ……。そして鏡の中では永遠に生き続けられる――。
……この時あたしは、ママに会えた嬉しさよりも、鏡に秘められた新たな力に魅了されていた――。
そこは……
「寝……室?」
「美沙は、あの鏡に吸い込まれていたんだ」
鏡……鏡が人を吸い込んだ?
「ママは……無事なの?」
「もちろん元気だよ。沙希も久しぶりに美沙に会いたいだろう?」
そう言ってパパはあたしを寝室の鏡の前まで連れていく。
「美沙……。沙希だよ、僕たちの娘だ。こんなに大きくなったよ」
あたしとパパを映し出していた鏡は、次第に長い髪の女性の姿を映し出す。
「マ……マ? ママなの!?」
目を疑ってしまった。だって……鏡に映っているのは、どう見ても20代前半の綺麗な……あたしの記憶の中のママだった。
「鏡の世界は時間が流れないらしくてね、美沙は若く綺麗なまま、ずっとパパと沙希を見守ってくれているんだよ」
「こんな事って……」
パパは鏡の中のママを愛おしそうに見つめ、話しかけている。でも……ママがそれに応える事はない。
鏡は、サキは人を殺すだけじゃないんだ……。そして鏡の中では永遠に生き続けられる――。
……この時あたしは、ママに会えた嬉しさよりも、鏡に秘められた新たな力に魅了されていた――。