幻妖奇譚
翌日、あたしは学校を休んだ。
“また来るから”
その言葉を信じて、朝からずっと中原くんを待っている。
「サキ……、昨日言った“中原くんを殺して”って依頼、撤回するわ」
「そう……」
「そのかわり……頼みたい事があるの」
あたしはサキに内緒話をするようにそっと耳打ちをした。
「……わかったわ」
「引き受けてくれる?」
「沙希がいいなら……」
「じゃあ、お願いね。サキ」
あたしは待ち続ける。 もう外は陽が傾きかけてる。
ピンポーン
「来た!」
玄関のドアを開けると、大好きな人が立っている。
「沙希ッ! ……あのッ」
「すごい汗……。あがって? 冷たい飲み物用意するから」
くすっ
くすくす……
……貴方は永遠にあたしの側で生きるのよ――。
……だって、今はあたしを好きでも、いつか心変わりするかもしれないでしょう?
そうなったら、あたし……きっと貴方を殺してしまう。
だから、あたし決めたの。そうなる前に貴方を閉じ込めてしまおう、って。
寝室から眩い光が放たれる――。
『……続きまして、○○区の民家で起きた一家行方不明のニュース。新たな情報はないとの事です。また、同じ時期に行方不明となった関口さん宅の長女の同級生である男子高校生の行方も、依然として掴めていないようです。専門家の話に依ると、現代版の神隠しではないかと……』
「くすくす……これで、誰にも邪魔されずにいつでも会えるね。ママにもパパにも、中原くんにも。くす……くすくす……」
第二夜 鏡 Fin.
“また来るから”
その言葉を信じて、朝からずっと中原くんを待っている。
「サキ……、昨日言った“中原くんを殺して”って依頼、撤回するわ」
「そう……」
「そのかわり……頼みたい事があるの」
あたしはサキに内緒話をするようにそっと耳打ちをした。
「……わかったわ」
「引き受けてくれる?」
「沙希がいいなら……」
「じゃあ、お願いね。サキ」
あたしは待ち続ける。 もう外は陽が傾きかけてる。
ピンポーン
「来た!」
玄関のドアを開けると、大好きな人が立っている。
「沙希ッ! ……あのッ」
「すごい汗……。あがって? 冷たい飲み物用意するから」
くすっ
くすくす……
……貴方は永遠にあたしの側で生きるのよ――。
……だって、今はあたしを好きでも、いつか心変わりするかもしれないでしょう?
そうなったら、あたし……きっと貴方を殺してしまう。
だから、あたし決めたの。そうなる前に貴方を閉じ込めてしまおう、って。
寝室から眩い光が放たれる――。
『……続きまして、○○区の民家で起きた一家行方不明のニュース。新たな情報はないとの事です。また、同じ時期に行方不明となった関口さん宅の長女の同級生である男子高校生の行方も、依然として掴めていないようです。専門家の話に依ると、現代版の神隠しではないかと……』
「くすくす……これで、誰にも邪魔されずにいつでも会えるね。ママにもパパにも、中原くんにも。くす……くすくす……」
第二夜 鏡 Fin.