【企】ブラインド ユー
「将は………ギタリストだから余計なんだよ、ギター触ってんのは」
雅也君は、あたしの涙を拭ってくれた。
「だから話してみれば?将、沙良ちゃんの事探してるよ」
雅也君………
「ありがとう…」
そうだよね。
話してみなきゃ…
怖いけど…
「辛くなったらまた相談しにこいよ?」
あたしは涙を流しながら一生懸命に頷いた。
「ありがとっ…」
本当に嬉しかった。
「よし。じゃあ彼氏の元に帰んな。送ってってやるから」
「へ!?悪いよ!!」
しかし、雅也君はあたしの言葉にお構いなしにコートを羽織った。
「寒くない?」
「うん…でも、雅也君…送ってもらうのは悪いよ…」
あたしは玄関に向かう雅也君を追いかけた。
「沙良ちゃんに何かあったら将に殺されるからね」
雅也君は靴を履いて玄関のドアを開けた。
……そうだろうか…
将ちゃんは、あたしを本当に想って付き合ってるのか…
ううん、話さなきゃ分かんないよね。
あたしは雅也君の言葉に甘えて、送ってもらう事にした。
靴を履き、外へ出た。