【企】ブラインド ユー
将ちゃんの、風より冷たい声に、あたしの体はビクッとした。
「お前…沙良ちゃん泣かせただろ…悲しんでたぞ」
雅也君はまるで将ちゃんを挑発するように言う。
将ちゃんと雅也君が怖くて、あたしは何も言えなかった。
「沙良」
あたしを呼ぶ将ちゃん。
「行け」
雅也君に背中を押され、あたしは将ちゃんに近づく。
チラッと雅也君を見ようとしたが…
「きゃっ」
将ちゃんに腕を思いっきり引っ張られてしまった。
「雅也…お前、どういうつもり?人の女を家にあげて」
「はっ…嫉妬?
別に将に関係ないだろ?将は沙良ちゃんとの時間、作ってやんなかっただろ」
…………何?
やめて…怖い…
「てめぇ…何か手ぇ出したんだろ!?」
「だから言ってんだろ?将には関係無いって」
将ちゃんが舌打ちしたのが聞こえた時…
「わっっ」
将ちゃんはあたしを引っ張って歩き出した。
速いし、腕を握る強さも痛い…将ちゃんの苛立ちが伝わってくる。
「将ちゃん…!?」
訳も分からないまま、あたしは将ちゃんに引っ張られる。