【企】ブラインド ユー


「心配した」



眉を下げて
悲しそうな目で
あたしを捕らえると





「……っ」




唇に、
暖かな感触。







冷え切った空気の中、

将ちゃんに触れている所だけが熱い。







優しい優しいキス。


初めて触れられ、
驚きと喜びが隠せない。





「……はぁ…っ」



甘い吐息が、
白くなって空気中へ
出て行った。






「将…ちゃん…?」


暗い路地だから
よく見えない



だけれど、あたしは将ちゃんの顔を覗き込んだ。





「見んな…っ」




あたしの瞳には、
真っ赤な顔して困ってる

将ちゃんが
映っていた。





「ぷっ」


溜まらず吹き出すと、将ちゃんはカチンときたようで。





「沙良!!
何笑ってんだよ!?」


初めて見る、
真っ赤な顔に、
焦ったような顔。



「可愛いー♪」
「うっせぇ!黙れ!」







その時、突然、


思わず緩む頬に、
冷たい雫が落ちた。






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