【企】ブラインド ユー
「いーよ。
消しゴム、シャーペンに付いてんの使うから」
そう言って、将ちゃんはまたギターを鳴らし始めた。
………どうして…?
将ちゃんは、今まであたしに好きって言ってくれた事が無い。
ギターに夢中で、あたしなんか眼中に無いのかなって、時々思う。
ギターが大好きな将ちゃんは大好きなの。
だけど…………
キスも拒否されて、
好きも言われなくて
あたし達、付き合ってる意味…あるの?
「…………っ」
涙がボロボロとこぼれ、ケーキに染みていった。
将ちゃんが大好きなお店の大好きなケーキ、買ってきた。
だけど………
将ちゃんは要らないの?
「………バカっ…」
あたしは、手の中の消しゴムをギュッと握り締めた。
「将ちゃんなんか、
大っ嫌い!!!!!」
あたしは、そう泣き叫んで、消しゴムを思いっきり将ちゃんにぶつけた。
消しゴムは将ちゃんの綺麗な茶色いセットされた髪に当たった。
「!?…沙良!?」
将ちゃんは、驚きの目であたしを見ていた。