【企】ブラインド ユー
道端にうずくまって泣いていると……
「沙良ちゃん?」
頭上から声が聞こえた。
ふと顔を上げると、
「………あ…」
「何で泣いてんの!?」
そこには、将ちゃんのバンドのボーカル、雅也君が居た。
「……うぅっ」
あたしは雅也君を見ると、ワンワンと更に激しく泣き出した。
「沙良ちゃん!?」
「雅也君ー!!(泣)」
雅也君は困惑したようにあたしを見てはキョロキョロしていた。
「ちょっと此処じゃ……話聞くから、俺ん家来ない?」
雅也君はしゃがんであたしの目線と合わせた。
「……………」
雅也君に聞いてもらったらスッキリするかもしれない…
雅也君は凄く優しくて、あたしと将ちゃんの事をいつも応援してくれた。
甘えるのはいけないかもしれないけど…今のあたしは1人じゃ何も出来ない。
「…………」
あたしは静かに、小さく頷いてみせた。
「よし。じゃあ行こう?立てる?」
雅也君に支えられ、あたし達は歩き出した。
…雅也君、ありがとう…