【企】ブラインド ユー


「成る程なぁ。将、ギターバカだもんな?」


雅也君はニヤリと笑ってあたしを見た。




~~~っっ。





「俺は言われたこと無いな、そういう事。」


…………え…





「俺も作曲するからギターばっかりやってたけど、俺は言われなかったよ」




…そうなんだ……。

やっぱりあたしが子供なだけなのかな?




将ちゃんが楽しいと思って、一生懸命やっている事を…

後押しできない、ただの子供なのかな?





「…………っ」


また涙が…収まってきた涙が、また溢れ出てきた。




子供で、弱い。

こんなあたしだったら、将ちゃんに嫌われるに決まってる。






「沙良ちゃん」

雅也君は優しくあたしの頭を撫でた。







「あたしと居る時間作ってよ、って言われないのも寂しいもんよ?」




…………え……





あたしは静かに顔を上げて、雅也君を見つめた。




「矛盾してるけど…我が儘くらい言ってほしいな、って思いながらギター触ってたよ」



……………っ。






< 9 / 35 >

この作品をシェア

pagetop