クリスマス恨み節


「いまんとこ、いないって言ってたよ」
「美人なのに。しかもクリスマスなのに」
「そう。クリスマスなのに」


アヤノさんは、コーヒーのプルタブを空けると


「長谷川さんねー……。冬に振られるんだよ。仕事第一だから」


クリスマス、バレンタイン、ホワイトデー。
冬のイベント時、当然売り子として引っ張り出される彼女に、休めるわけがない。


「しかも、営業成績はトップ。販売でもないのに。同じ会社にいて、彼氏と続くワケない」
「な、なるほど……」
「結婚間際までいった彼氏もいたらしいんだけどね。地味な子に取られたって笑ってたよ」


あの美貌。
あの仕事っぷり。
そのヘンのオトコでは、太刀打ちできそうもない。
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