クリスマス恨み節
長谷川さんの数々の作戦により、ケーキは完売した。
やはり、夕方の、仕事帰りのお父さんを狙い撃ちする彼女の呼び込みは素晴らしい成果をあげ、午後7時から9時の間は退屈だったほどだ。
アヤノさんとリリーちゃんは先に帰し、俺と長谷川さんは電車で帰る。
二人が帰ってからも、長谷川さんは作業をしていた。
「先に帰ってもいいよ」
「いえ、手伝います」
「そっか。じゃあ、コレ25枚ずつコピーね」
長谷川さんは、明日子供たちに配るキャンディをバスケットに入れて用意していた。
「こういうの、会社から費用でるんですか?」
「いいや。自腹だよ」
え、出ないんだ。
「なんでそこまでして?」
「お客様の笑顔が見たいからに決まってんだろ」
ハイ、キャンディ、とぽんと一個渡された。
「黒糖ハチミツミルクキャンディー……」
あまそー……。
「コレが昔から好きなんだ」
「昔からあるんですか」
「北野森は、仕事、あんまり好きじゃないだろ」
「……わかりますか?」
「まーな。私も昔は仕事嫌いだったし」
わかるわかるー、と言う彼女が、なんだか意外で、俺は戸惑った。
「でも一回本気出してみると、仕事って楽しいぞ」
「1袋100円の飴でケーキ売れたら嬉しいし。ケーキ買う客はみんな幸せな顔するからな」
そういう笑顔を見るのが、好きなんだ。
長谷川さんは笑った。
やはり、夕方の、仕事帰りのお父さんを狙い撃ちする彼女の呼び込みは素晴らしい成果をあげ、午後7時から9時の間は退屈だったほどだ。
アヤノさんとリリーちゃんは先に帰し、俺と長谷川さんは電車で帰る。
二人が帰ってからも、長谷川さんは作業をしていた。
「先に帰ってもいいよ」
「いえ、手伝います」
「そっか。じゃあ、コレ25枚ずつコピーね」
長谷川さんは、明日子供たちに配るキャンディをバスケットに入れて用意していた。
「こういうの、会社から費用でるんですか?」
「いいや。自腹だよ」
え、出ないんだ。
「なんでそこまでして?」
「お客様の笑顔が見たいからに決まってんだろ」
ハイ、キャンディ、とぽんと一個渡された。
「黒糖ハチミツミルクキャンディー……」
あまそー……。
「コレが昔から好きなんだ」
「昔からあるんですか」
「北野森は、仕事、あんまり好きじゃないだろ」
「……わかりますか?」
「まーな。私も昔は仕事嫌いだったし」
わかるわかるー、と言う彼女が、なんだか意外で、俺は戸惑った。
「でも一回本気出してみると、仕事って楽しいぞ」
「1袋100円の飴でケーキ売れたら嬉しいし。ケーキ買う客はみんな幸せな顔するからな」
そういう笑顔を見るのが、好きなんだ。
長谷川さんは笑った。