プレゼント(Intron crack企画)
小さな駅の改札から吐き出された人達が、次々と俺の左右を通って行く。

真っ赤な衣装に帽子。

綿飴のような付けヒゲ。

なのに誰も俺の事なんか気にしちゃいない。

白いコートを着た髪の長いOLは、携帯を耳にあてながらタクシーに一直線。

頬を上気させて、瞳を輝かせて。

グレーのスーツに身を包んだ中年の男は、右手に茶色いカバン、左手には大きなビニールの袋。

袋には有名な玩具メーカーのロゴ。

クリスマス当日にもなってまだケーキを買ってない人間なんか、そうは居ない。


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