鈴が鳴る~イブの贈り物~
「何階ですか?」

 男がゆったり言った。

「七階です」

 さとるは即座に答えた。

「あぁ、同じですね」

 エレベーターが昇っていく。

「サンタさんの格好なんて、お子さんへのプレゼントですか?」

 男はさとるにとって残酷な言葉を口にした。

「ええ、そうです」

 さとるは低い口調で言い咳き込んだ。

 ばれれば良いという考えと共に、香奈子の幸せを邪魔する最低の男にもなりたくないという気持ちもあった。

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