魔法使い千羽羽
ガチャ、

臭い!

あたしは鼻をおさえてロッカーの中をチェックした。
制服、カバン、バック
変わったものはないわね。

パタン

ふう

さて、次はどこを調査しようかな。

ガヤガヤ…

野球部員が戻ってきた。

あたしはたいていの人間には姿も見えず声も聞こえないけど、実体はある、そう触るとわかるの。だから邪魔にならないように物置の中に入ろうとして開けた。先客がいた。

「誰?」

ドタドタ……

「とにかくさあ入って」

あたしはメガネをかけた小柄な男の子に手を引っ張引っ張られて中に入った。

ガラガラ……
ガチャ、

「忍、ラーメン食べて帰らない?」

おっ、調査対象のことだ。

「俺、用事があるからパス」

どこ行くのかな。

ガラガラ……

しーん

さて、出るか?

パタン

メガネくんのことはおいといて急いで追いかけなきゃ。

あたしは走り出した。後からメガネくんも走って追いかけてきた。
恋人は下駄箱にいた。

ふう、間に合った。

あっ、依頼人のマネージャーだ。

「俺、用事あるからまたな」

「またなの?なんで?」

早乙女忍はその言葉をとりあわず

「じゃまた」

とさっさと去って行った
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