魔法使い千羽羽
「じゃ、一緒にきて。……名前はなんて?」

「俺のことはそうだな。今日は日曜日だからサンデーとでも、呼んでくれ。おチビちゃんはなんて名前だ?」

「あたしはおチビちゃんじゃないわ。千羽羽(ちわわ)よ。真夜中千羽羽。急ぐから名前の由来なんて説明してる場合じゃないわ。行くわよ」

あたしはドアを開けて吹雪の中を進もうとした。
進まない、
と思ったら進みやすくなった。後ろを見たらサンデーが杖を上げていた。
あたしも学校貸出しの弱い杖があるけど、簡単な魔法しかやったことがない。しかも、もし壊れたら自腹を切らなくてはいけないの。強い魔法は数回しかできないはず。
吹きだまりにたどりついた。先生は吹きだまりが吹雪で埋まらないように杖を最大限使っていた。
魔法を使うとまず精神力が減る、次に体力が減る。
先生は体力まで使っているようだった。

「サンデー、あたし、浮遊術使えるの。そう、エスパーでもあるの。集中がいるから吹雪からあたしを守って」

「わかった」

あたしの周りだけ吹雪がやんだ。

あたしは眼を閉じて、ゆっくり、開けた。その眼は真っ赤だった。
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