魔法使い千羽羽
両親がいる魔法使いは12歳になったら魔法学校に行くの。
あたしはいないし、お金がないから行けないけどね。
全寮制だから、けっこうかかるのよ。親のいない魔法使いに世の中厳しい。
そんなことを考えながら歩いていたらチャウチャウを捕まえた子の家に着いた。さてどうしよう。チャウチャウは家の中かな?
あたしは眼を閉じた。外だから集中しずらいな。眼をゆっくり開けた。真っ赤な眼で家の中を透視した。いない。庭かな?
あたしは眼を閉じ、また開けた。青い眼に戻っていた。裏の庭の方に周りこんだ。

男の子がいた。

「チャウチャウ知らない?」

あたしは一応、声をかけてみた。

「チャウチャウなんて知らない。それよりお前だれ?人の家にかってに入ってきてさ」

姿が見えたらしい。

「あたしは、株式会社ミッドナイトセンチュリーの真夜中千羽羽。チャウチャウのモナカを探してるの。あなた、落とし穴からチャウチャウ引き出したでしょう」

「あぁ、あのチャウチャウなら持ち主って人に渡したよ」

持ち主?失敗した。もっと透視しておけばよかった。

あたしは男の子にうさんくさくみられながら裏口から出た。

どっかで集中して透視しなおさなきゃ。
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