魔法使い千羽羽

あたしたちがその中華料理屋に着いた時にはモナカは綺麗に洗われてるところだった。

あたしが開け放たれた裏口からどんどん入って行って洗ってる男に言う。

「止めてください。モナカをどうするんですか？」

男はあたしの姿も見えないし、声も聞こえないらしく、そのまま洗い続ける。

困ったな。どうしよう。

「早くしてくれ。お客様が待ってるんだぞ」
奥にいた男が洗ってる男に言った。

「はい、もうすぐゆでられますよ」

ゆでるって！モナカを……
あたしはパニックになりそうになった。

「お姉ちゃん、来て」
外から、さっきの女の子が呼んだ。

それどころじゃないんだけど……

とにかくあたしは女の子のそばにいく。

「チャウチャウを食べようとしてるの私のおじさんなの。止めてあげるね」

女の子はパタパタと客席の方に走って行った。

チャウチャウを食べる？なんてことするの？
あたしはショックでその場に座りこんでしまった。

しばらくすると

「お姉ちゃん、食べるの止めてくれたよ。お姉ちゃんのチャウチャウ良かったね」

あたしのじゃないけど……ほっとした～