+−CLASS ROOM×÷
相変わらず笑顔の恭と不機嫌な俺。


そしたらいきなり……


「あ、杏ちゃんって誰!??」


茗がすごい勢いで聞いてきた。

普通に驚いた。

恭と千花も一瞬動きが止まった。



「あれ? 茗、杏ちゃんに会ったことなかったっけ?」


最初に口を開いたのは恭だった。


『は?』という顔をしている茗。


「杏ちゃんは識のお姉さんだよ。本名は杏奈さん」


千花が言った。


「お姉さん!?」


茗は『大げさだろ』って言いたくなるくらい驚いていた。


てゆーか俺……


「言ってなかったっけ」

「聞いてない!」


茗は即答した。

さっきの勢いで。


「……まぁそういうことだ」


姉貴に関して色々聞かれるのを避けようと、靴を履いて歩きだした。


「ちょっ、待てよ識!」


後ろでバタバタという音。



「ところで茗。誰からの電話だと思ったの?」


「……も、元カノ」

「は!?」


千花と茗の会話は俺まで届き、俺は思わず声を出してしまった。


あれだけの電話から何でそういう方向に行くんだ?



「だって……」


茗はそこで言葉を詰まらせ目線を下に移した。



「ザ・早とちりッ」

「はぁ!?」


恭が茗を指差しながらそう言うと、茗はいつもの調子に戻った。


「だってそうじゃんっ」

「うるさぁーい」

「あんた達いくつよ……」




その帰り道、『元カノ』という言葉で浮かんだあいつのことを懐かしく思いながら歩く俺がいた。



end.
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