+−CLASS ROOM×÷
「でもね茗。識は吹っ切れてると思うよ」


千花の言葉も半分しか耳に入って来なかった。

今まで彼氏がいたことがない私には、元カノの存在は大きく感じた。



「識と付き合い始めた頃に、比呂の仕事も増え始めてさ……」


千花が話しだした。


「比呂のお母さんは比呂のモデル業に熱心な人で、もともと2人が付き合う事に反対だったんだけどもっと厳しくなったんだ」


「え?」


千花は続けた。


「そしたらそれに追い打ちをかけるみたいに比呂のお父さんの転勤が決まって……

2人は別れたの」


そこには私の知らない識がいた。

とにかく胸がつまった。


「でもね、そんな別れ方だったけど比呂の引っ越しの日、2人とも笑ってた」

「笑って……た?」


そんな別れ方だったのに?


「うん。詳しくは知らないけど2人とも納得して別れたんじゃないかな?」

「……そうなのかな?」


好きだったのに?

付き合ってたのに?


私にはよくわからなかった。


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