+−CLASS ROOM×÷
「ありがとう」

「!」


全く予想していなかったタイミングでの一言に、思わずよく振り返った。


「何だよ」

識は何だか照れ臭そうだ。

「もう1回!」

「は?」

「もう1回言って! 聞こえにくかった!」

ちょっと意地悪をしてみた。


「……次は1分でつけろって言ったんだよ」

「えー! さっきと違うじゃん!!」

「しっかり聞こえてたな?」


……あ。

ちょっと待って。


『次は1分でつけろ』……


それって、また私に任せてくれるってことかな?


識にとっては無意識に発した言葉かもしれない。


そんな一言だって、私を左右する。



とりあえず、今日の帰りは

携帯用の裁縫セットを買いに行こう。



end.
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