+−CLASS ROOM×÷

幼なじみリング

いつからだっけ……。

何でも話してくれなくなったのは。


* * * * * *
幼なじみリング

深見恭二
市村千花
橘識
夏木翔
* * * * * *


「千ー花ッ!」

「……え、あ、恭」

「おかえりー」

「おかえり?」

「意識どっか行ってたみたいだから? ……どした? 何か昨日から変じゃね?」

「ううん。何も無いけど?」


嘘だ。

何も無い訳無い。


昨日から千花はどこか上の空だ。

何か考え事をしているみたいな……そんな感じ。


「まぁいいけど。何かあったら言えな?」

「だから何も無いってばー」


そう笑顔で言われてしまったら、それ以上深くは突っ込めない。


その時、背後から声がした。



「市村ー、担任が笹本と職員室来いってさ」

「あ、うん、分かった。ありがとね」


「はいよー」なんて返事をしながら、頭の横で手をひらひらさせているクラスメイトの翔の後ろ姿を少しの間見送ってから、千花は立ち上がった。


「じゃぁ、ちょっと行ってくるね。」

「……ん? おい!」


俺は教室を出ていこうとする千花を呼び止めた。


「潤呼ばなくていいのか?」


潤とは、千花ともう1人のクラス代表。

潤は窓のところで他の奴と話をしていた。



「きっと1人でも平気。2人もいらない用事の時多いし」

「あ、そうすか」


それから「じゃ!」と言って千花は教室を出ていった。



2人呼ばれた時は必ず2人で行くのに……


こんなことは初めてだった。

< 39 / 104 >

この作品をシェア

pagetop