+−CLASS ROOM×÷
「やっぱりおかしい」

「何が」

「うん」

「……とりあえず、どいてろ」



放課後の掃除の時間。

今月は当番のない俺は黒板を掃除している識の脇で教員用の椅子に座っていた。



「あ゙ー!!」

「だから何なんだお前は」


左手で自分の髪をクシャクシャにしている俺を見て、一度黒板を消す手が止まった識。


「何かこう突っ掛かんだよ」

「だから何が」

「千花の態度……?」

「あぁ」


識も気付いていたらしく、納得した様子だった。


そして掃除を再開した。



「でも『何も無い』ってさー」

「だったらほっといてやれ」

「……」

「あいつにだって、俺らに言いたくないことくらいあるだろ」

「分かってるけどさ……」


昔は何でも言い合えた。

千花が識を好きだったことだって知っているくらいだ。


「あーあ。あいつが何でも言ってくれなくなったのいつからだっけ? んー、結構最近か?」


俺が苦笑しながらそう言うと、識はこんな質問をしてきた。



「じゃあ……何でも聞けなくなったのはいつからだ?」

「え?」

「突っ掛かってることがあるなら、素直に聞けばいい」


識の声が少し柔らかくなった気がした。


「突っ走るのがお前の悪い癖だろ?」


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