+−CLASS ROOM×÷
「その子は……言えなかったんだよ。

笹本君に告白されたこと、恭がどう思っているか分からなかったから……悩みのもと……が……恭だった、から……?」


だんだん前がぼやけてきた。



「私も……好きだから」



俯いた私に恭が一歩だけ歩み寄る。

そして私の頭に手を置いて、安堵のため息を吐いた。



「“その子”イコール“千花”なんて言ってないのに」


その声は笑っていた。

私は涙が止まらなくて、ずっと俯いていた。


「よかった。言ったら俺らバラバラになっちゃう気がしてた」

「私……も」


私は顔を上げた。

ちゃんと恭に想いが通じるように。


恭二は笑顔で頷いて、優しく私の頭を叩くと、自分の席に向かった。



「ほら」


戻ってきた恭が差し出したのは水色のタオル。


「体育の時使ったやつで悪いけど」


伸ばしかけた手を一瞬止める。


「大丈夫、きれいだって!……きっと?」

「どっちなのー」


泣きながら思わず笑ってしまった私を見て、恭もまた微笑む。



「暗くならないうちに帰ろっか」



窓の外は、いつのまにか朝あった黒い雲はなくなっていて、白い雲の間から、青空がのぞいていた。


「同じ色……」


恭から受け取ったタオルをギュッと握り締めて、


ずっと一緒にいられるように、その空に祈った。



忘れられない。

幼なじみから彼女になった日。


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