+−CLASS ROOM×÷
違うところ
兄弟のいない私にとって、“彼”は本当のお兄ちゃんみたいな存在だった。
* * * * * *
違うところ
市村千花
深見恭二
深見稜太
* * * * * *
「いらっしゃい」
「稜ちゃん!」
恭の家に遊びに行くと、玄関で私を迎えてくれたのは、恭のお兄さん、稜ちゃんだった。
恭はコンビニに飲み物を買いに行ったらしく不在で、リビングで待つことになった。
「稜ちゃん、いつ帰ったの? 何か用事?」
「昨日の夜帰ってきたんだ。特に用はないけど、たまには帰ってこないとね。なのに親父は出張、母さんはPTA支部会の集まり。淋しいもんだよ」
稜ちゃんはこの春大学を卒業して、今はスポーツジムでインストラクターの仕事をしていると恭が言っていた。
大学生の時から一人暮らしをしているから、会う機会は本当に少ない。
「千花ちゃんは? 恭と約束してた?」
「あ、うん」
「ごめんね、あいつから聞いてたら俺が買いに行ったのに」
「あ、大丈夫!……約束11時だったから」
私の言葉に稜ちゃんが時計を見上げる。
そして微笑んだ。
「早く来すぎちゃったわけね」
「はい……」
時計の長針はちょうど『9』のところを指していた。
「いいね! 若いってッ」
あ。
今の口調、恭にそっくりだ。
黒髪で、恭より背が高くて、大人な稜ちゃん。
でもどこか似ていて、やっぱり2人は兄弟なんだって改めて思った。
「識は元気にしてる?」
「うん」
「あいつにも会いたいなー。でもあいつ俺に会う度に嫌な顔すんだよね。俺に絡まれるのがそんなに嫌かね?」
そう言って稜ちゃんは苦笑いをした。
* * * * * *
違うところ
市村千花
深見恭二
深見稜太
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「いらっしゃい」
「稜ちゃん!」
恭の家に遊びに行くと、玄関で私を迎えてくれたのは、恭のお兄さん、稜ちゃんだった。
恭はコンビニに飲み物を買いに行ったらしく不在で、リビングで待つことになった。
「稜ちゃん、いつ帰ったの? 何か用事?」
「昨日の夜帰ってきたんだ。特に用はないけど、たまには帰ってこないとね。なのに親父は出張、母さんはPTA支部会の集まり。淋しいもんだよ」
稜ちゃんはこの春大学を卒業して、今はスポーツジムでインストラクターの仕事をしていると恭が言っていた。
大学生の時から一人暮らしをしているから、会う機会は本当に少ない。
「千花ちゃんは? 恭と約束してた?」
「あ、うん」
「ごめんね、あいつから聞いてたら俺が買いに行ったのに」
「あ、大丈夫!……約束11時だったから」
私の言葉に稜ちゃんが時計を見上げる。
そして微笑んだ。
「早く来すぎちゃったわけね」
「はい……」
時計の長針はちょうど『9』のところを指していた。
「いいね! 若いってッ」
あ。
今の口調、恭にそっくりだ。
黒髪で、恭より背が高くて、大人な稜ちゃん。
でもどこか似ていて、やっぱり2人は兄弟なんだって改めて思った。
「識は元気にしてる?」
「うん」
「あいつにも会いたいなー。でもあいつ俺に会う度に嫌な顔すんだよね。俺に絡まれるのがそんなに嫌かね?」
そう言って稜ちゃんは苦笑いをした。