+−CLASS ROOM×÷
◆長峰 葵×夏木 翔◆

自信

父の転勤で、高校入学と同時にこの土地に来た。

昔から人と関わるのが苦手だ。

……って思ってた。


* * * * * *
自信

長峰葵
夏木翔
* * * * * *


屋上が好きでたまに授業をサボっては屋上にいた。

……本当は立入禁止だけど。


「葵ッ」


その声の主は今日もやって来た。


「翔……昼休みは終わってますけど?」

「お前もな!」


現れたのは、夏木翔。

翔は男女問わず人気がある。



「いつも思うんだけどさ……」


翔が私の脇に座った。


「名前『葵』なのに髪赤いってのはウケ狙い!?」


そう言って悪戯っぽく笑ったから


「逝け」

って冷たく言い放ってやった。



私の髪は赤い。

他の皆だって茶髪とかにするでしょ?

私は茶色より赤がよかった。

あまり話さない上にそれだから、周囲に余計恐いイメージを与えているらしい。



「そうだ。あんたさ、授業中に手振るのとかやめてよ。誰も見てなかったけどさ」

「えー! いいじゃん! 葵が『教室では話し掛けるな』って言うから話し掛けないでいるんだし、それくらい」

「……」



入学当初から壁を作っていた私は、今更自分を壊すのが恐かった。


「まあ、いいけどさぁー」


そう言って翔は、背伸びしながら横になった。



……少し沈黙。


その時吹いた風が気持ち良かった。

ちょうど下にある音楽室から歌声が聞こえた。


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