+−CLASS ROOM×÷
屋上の扉を静かに開けると、葵はいつも通り向こうを向いて座っていた。



「葵ッ」


突然呼んでも葵は驚かない。


「翔……昼休みは終わってますけど?」


葵は振り返らずにそう言った。


「お前もな!」


そう言って近づく。

とりあえず笑わせてやろうと思った。


「いつも思うんだけどさ…」


俺は葵の脇に座った。


「名前『葵』なのに髪赤いってのはウケ狙い!?」


『ははッ何言ってんの!?』

って反応を期待してたのに……


「逝け」


って冷たい目で返されてしまった。


ヤバって思っていたら、葵は普通に発言してきた。


「そうだ。あんたさ、授業中に手振るのとかやめてよ。誰も見てなかったけどさ。」


そういえば3限の時に手振ったような…


「えー! いいじゃん! 葵が『教室では話し掛けるな』って言うから話し掛けないでいるんだし、それくらい」


そう。葵は俺に『教室では話し掛けるな』と言う。


「……」

「まあ、いいけどさぁー」


葵が黙ってしまい、このままじゃ空気が悪くなる気がしたから流した。


でもやっぱり微妙な空気が流れたから、その空気を打ち消そうととりあえず横になってみた。



……少し沈黙。


その時見た空は綺麗な青だった。


空を見てたら何だか穏やかな気持ちになった。

何となく、今なら思っている事を言えるような気がしたんだ。


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