+−CLASS ROOM×÷
「クラスの奴らもお前と話してみたらいいのになぁ」

「は!?」


俺の突然の発言に、葵は勢い良く振り返った。


「だーかーら! 『クラスの奴らも葵と話してみたらいいのに』って言ったの!」

「いや……それはわかったけど」


葵にそんなことを言うのは初めてだった。

だから葵はどう反応したらいいのか困っているようだった。



「葵だって話してみたら普通の奴なのにさ」

「急に何な訳!?」



クラスの中には、葵を恐い奴だと思っている奴もいるらしい。

葵が普通の奴だっていうことをそう思ってる奴らに教えてやりたかった。


そのためには葵自身の頑張りも必要か?



「葵もさ、もっと自分に自信持っていいんじゃん?」

「え?」


葵は『人と関わる事が苦手だ』って言ってた。

でもこうして俺と話してる。

だから俺は最近そう考えるようになった。


そこから先は葵自身に考えてほしかった。

……て、ここまで言ったら困らせちゃったかな?


「俺そろそろ戻るわ。俺って真面目だしッ」

「どこが?」

「ははッ」


最後に笑わせて帰ろうと思ったけど、やっぱり冷たく返された。


* *


――ガラッ


「先生ごめんッ! 長峰さん見つかんなかった!」



山元に怒鳴られた後、席に着いてふと思った。



俺だけが知ってる葵を、他の奴らに知られるのも何か淋しいな、と。

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