+−CLASS ROOM×÷
◆植田 愛美×宮城 遥◆

名無しのラブレター

中学の時好きだった人に最近彼女ができた。

普通にショックだった。


* * * * * *
名無しのラブレター

植田愛美
高坂玲
* * * * * *


「……何これ?」


朝、席に着くと机の中に見知らぬ封筒が入っていた。

とりあえず開けてみる。


『ラブレター』

という文字が頭に浮かんで、実はドキドキしていた。


便箋を広げる。


『植田愛美様』


丁寧な字で綴られていた。


『好きです。
よかったら付き合って下さい。』


!!

ラ、ラブレターだよ!

心臓の音が少し速くなった。


「ん?」


名前が無い!?


手紙の最後にも封筒の裏にも名前が無かった。


え?書き忘れ??


……ドッキリ!?


周りを軽く見回したけど、誰もこっちを見ている人はいなかった。


* *


「玲ちゃんっ」

「愛美おはよー。どした?」


それから少しして玲ちゃんが登校してきたので、私はさっきの手紙を玲ちゃんに見せた。



「今時ラブレターとかあるんだ」

「そうじゃなくてっ……まぁそれもそうだけど」


確かに高校生の男子がラブレターとかあんまり聞かないよね。


「てか名前忘れるなよ! 1番重要だろうが!」


玲ちゃんは手紙に向かってそう言った。


「まぁこれ書いた本人が気付いて名乗り出てこなきゃわかんないね」

「そうだね」

「格好良い人だったらいいと思うね私は。まぁそこまで期待してないけどさ」

「ははッ」


玲ちゃんが自分の事みたいに言うから可笑しくて笑った。


すると玲ちゃんは思い出したように言った。


「そういえばさ……中学の時好きだった人の事はもういいの?」


「うん、いいの。彼女いたらしょうがないよ」


それに告白したのも彼からだったみたいだし。

私は曖昧に笑った。


玲ちゃんは私の方を見て、ただ黙って頷いた。


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