+−CLASS ROOM×÷
駅に着いて、宮城君はバス通学なんだけど、改札まで送ってくれた。


「じゃぁ、気を付けて」


笑顔で手を振る宮城君。


「うん、宮城君も」


そして私は改札を通ろうとした。


しかし、足を止めた。

そしてまだこっちを向いて立っていた宮城君の元へ駆け寄った。


「植田さん? どうかした?」


待ち合わせ場所に息を切らして走ってきてくれた宮城君に、

一生懸命な気持ちをぶつけてくれた宮城君に、


伝えたい事があった。



「あ、あの……手紙のこと……



ま、前向きな方向で」


言ったら言ったで恥ずかしくなった私は、宮城君と目を合わせることなく足早に改札を通った。


だから宮城君がどういう表情をしたか分からない。



本当はね、中学時代好きだったあの人を、まだ完璧に忘れられた訳じゃないんだ。

だからあと少しだけ時間を下さい。


そして、今のこの気持ちが、きちんと形になったら伝えるから……



もうちょっとだけ、待っててくれますか?


< 60 / 104 >

この作品をシェア

pagetop