+−CLASS ROOM×÷
「植田、彼氏は?」


私の脳裏に一瞬浮かんだのは宮城君だったんだ。


「いないよ」


違う違う。

まだ宮城君は彼氏じゃない。


……“まだ”?



「八嶋は? 彼女さんいるんだよね?」


私の言葉に、八嶋が苦笑いをした。


「今はいないんだよね。……実は先週フラれちゃって」

「え、ごめん……」

「んーん」


八嶋は小さく首を振った。


八嶋には今、彼女がいない。

そう分かったのに全然嬉しくならない。


嬉しくなるどころか、切ない八嶋の表情が私にも移りそうだ。


私は自分で思っていたよりも八嶋のことふっきることが出来てたみたい。




「あのね、八嶋」

「?」


「今だから言える話、私ね、中学の時八嶋のこと好きでした」

「え? は?」


私の突然の告白に、戸惑いを隠せない様子の八嶋に私は続けた。



「でも、高校で好きな人出来たんだ。だから八嶋も頑張って!」


笑顔の私に、戸惑っていた八嶋もゆっくりと微笑んだ。



「ありがとう、植田」



* *


数日後の昼休み、放課後宮城君と帰る約束をした。


きっと今日は特別な日になる。



「あの! 宮城君っ」

「ん?」



「……今日の帰り、重大発表してもいいですか?」


< 62 / 104 >

この作品をシェア

pagetop