+−CLASS ROOM×÷
「前田君てモテる人なの!?」


俊の隣の席の藍ちゃんだ。


藍ちゃんの突然の参加に驚いていると藍ちゃんは続けた。


「前田君恐いのに! 不思議!!」

「あ゙!?」


藍ちゃんの言葉に軽く眉を動かす俊。


あんまり恐い顔すると、女の子びびっちゃうだろ……


……なんて俺の不安は、藍ちゃんには不要だった。


「そんな怖い顔しない!」

「!?」


俊の表情に怯むなんて素振りは全く見せず、ビシッと人差し指で俊の眉間辺りを差した。

俺にも予想外だった藍ちゃんの行動に俊も驚いたらしく、眉を下ろした。


「よし!」


それを見て満足そうに笑う藍ちゃん。



――俊にこんな態度の女の子って初めて見た。

俊に自分から関わろうとする女の子ですら珍しいのに。


「藍ちゃん、コイツ恐くないの?」


だから俺は聞いてみた。


「うん。今は平気」


けろっとした顔で答える藍ちゃん。


「で! 前田君てモテる人なの!?」

「黙れ」

「それがさぁー」

「智広も黙れ」



俊は女の子には手を出さない奴だけど(多分)、

俺は殴られる可能性があるから、藍ちゃんの質問は笑ってなんとかごまかした。


放課後、久しぶりに俊と帰った。


「藍ちゃんて面白いなー」

「どこが」

「んー? 何となく?」


俺は、俊にあんな態度をとる女の子の存在を少し面白がっていた。


前から思ってたけど、藍ちゃんて、何でもズバズバ言えちゃうタイプだと思う。

そんな子と俊が付き合ったりしたらどうなるんだろうか?



「俊、藍ちゃんのことどう思う?」

「別に」


俺は小さく笑った。


「頑張れッ」


「……よく分かんねぇけど、

一発殴っとくか?」

「げ」




俺にとって俊は大事な悪友だから、


俊が、『嫌なものは嫌』とはっきり拒否るタイプだということも、知っているわけで。



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