+−CLASS ROOM×÷

許す。

少しでも君に近付けてますか?

* * * * * *
許す。

梅沢藍
前田俊輔
石垣智広
宮田いつみ
* * * * * *


「前田くんッおはよ♪」


その声の主は、廊下から教室内に向かって手を振り、パタパタと走り去っていった。



「……ねぇ前田君。あの人誰? 2年生だよね?」

「……」


最近よく前田君に会いに来る2年生がいる。


今まさに、その人について聞いてみた訳だけど、前田君は答えてくれなそうだ。



「けちー」


私が頬を膨らましそう言ったって、前田君は知らん顏。




「宮田先輩っていうんだよ」


私の質問に対する答えが背後から聞こえ、振り向いた。


「なんか俊のこと気に入ってるみたい」


立っていたのは石垣君。

前田君の親友(石垣君談)。



「へぇ」


薄々は感じていたことだけど、他の人に言われると更にモヤモヤする。


前田君は見た目恐いし、喧嘩もする人なのに、仲良くなりたいって女の子が時々いるらしい。


……なんか嫌なんだ。そういうの。



「俺はあの先輩嫌いー」

「え!?」


私は思わず大きな声を出してしまった。


「石垣君でも女の子嫌いとかあるんだ!?」

「藍ちゃん、人を女なら誰でもいいみたいな言い方しないで?」

「えー」

「『えー』って何!?」


頻繁に彼女が変わる石垣君。

私と同じ考えの人は少なくないはずだ。



「……まぁ話は逸れたけど、俊も宮田先輩のこと良く思ってないっしょ?」


そう言って前田君を見た石垣君につられるように、私も目線を前田君に移した。


それまで黙っていた前田君は、ただ一言「決まってる」と呟いた。


不機嫌そうに呟いたのが気になったけれど、安心した。


でもどうして前田君は先輩を突き放さないのかな?

前田君ならそうしかねないのに。


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