+−CLASS ROOM×÷
◆栗沢 明日香×仁科 奏介◆
バランス(里美サンリク)
こんな私でいいですか?
* * * * * *
バランス
栗沢明日香
仁科奏介
* * * * * *
「わぁッ!!」
栗沢あすか、高1。
私には悩みがあります。
「……ほら。」
それは……
よく転ぶことです。
しかも何もないところでも転びます。
「ありがとぉ」
そう言って目の前に差し出された手を握った。
無言で私を立たせた彼は仁科奏介君。
通称:奏ちゃん(私しか呼んでないけど)。
私の彼氏です。
「大丈夫か?」
「う、うん!」
私が答えると繋がれていた手は離され、奏ちゃんはまた歩きだした。
奏ちゃんみたいな人をクールって呼ぶんだと思う。
奏ちゃんは口数が少ない。
だから登下校はもちろん、一緒にいる時は私ばっかり口を動かしている。
別に気にしてないよ?
だって奏ちゃんが好きなんだもん。
でも、時々不安になるんだ。
「あ! この前借りた500円返してなかったね!」
そう言って私は鞄のチャックを開け、お財布を取り出した
……が、
お財布を開けるのを奏ちゃんの手によって阻止されてしまった。
「?」
不思議に思って奏ちゃんの顔を見ると、奏ちゃんは口を開いた。
「学校着いてからでいいから。またばらまかれたら困る」
「……ぁあ! その節は……」
それは2日前のこと。
販売機でジュースを買おうとして、小銭を探しながら歩いていたら、転んでお財布の小銭をばらまいてしまったのだ。
私は「へへっ」っと軽く笑いながらお財布を鞄に戻した。
笑う私とは対照的に、奏ちゃんが軽くため息をついたように見えた。
不安になるんだ。
私はよく転んで迷惑かけるし、友達からどっか抜けてるって言われる。
そんなんじゃ奏ちゃんに嫌われちゃうんじゃないかって……。
* * * * * *
バランス
栗沢明日香
仁科奏介
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「わぁッ!!」
栗沢あすか、高1。
私には悩みがあります。
「……ほら。」
それは……
よく転ぶことです。
しかも何もないところでも転びます。
「ありがとぉ」
そう言って目の前に差し出された手を握った。
無言で私を立たせた彼は仁科奏介君。
通称:奏ちゃん(私しか呼んでないけど)。
私の彼氏です。
「大丈夫か?」
「う、うん!」
私が答えると繋がれていた手は離され、奏ちゃんはまた歩きだした。
奏ちゃんみたいな人をクールって呼ぶんだと思う。
奏ちゃんは口数が少ない。
だから登下校はもちろん、一緒にいる時は私ばっかり口を動かしている。
別に気にしてないよ?
だって奏ちゃんが好きなんだもん。
でも、時々不安になるんだ。
「あ! この前借りた500円返してなかったね!」
そう言って私は鞄のチャックを開け、お財布を取り出した
……が、
お財布を開けるのを奏ちゃんの手によって阻止されてしまった。
「?」
不思議に思って奏ちゃんの顔を見ると、奏ちゃんは口を開いた。
「学校着いてからでいいから。またばらまかれたら困る」
「……ぁあ! その節は……」
それは2日前のこと。
販売機でジュースを買おうとして、小銭を探しながら歩いていたら、転んでお財布の小銭をばらまいてしまったのだ。
私は「へへっ」っと軽く笑いながらお財布を鞄に戻した。
笑う私とは対照的に、奏ちゃんが軽くため息をついたように見えた。
不安になるんだ。
私はよく転んで迷惑かけるし、友達からどっか抜けてるって言われる。
そんなんじゃ奏ちゃんに嫌われちゃうんじゃないかって……。